2010年7月2日金曜日

ファイナンシャル・マネージメント

キャッシュ・マネージメントはトレジャリー・マネージメントの一部であり、トレジャリー・マネージメントはファイナンシャル・マネージメントの一部である。ではファイナンシャル・マネージメントとは一体何なのか?

貸借対照表、つまりバランス・シートは、資産と資本&負債がバランスすることから、バランス・シートと呼ばれる。これを西洋式(ビジネス・スクール式?)に表現すると「会社資産が何で構成されているかを表す一覧表」ということになる。つまり、資本と負債がどの割合で構成されているかという資本構成(キャピタル・ストラクチャー)をあらわすのである。では、なぜ資本構成が重要なのだろうか?

この重要性は資本と負債のコストとリスクを考えれば分かりやすい。例えばどこかの会社の株を買って株主になるとする。その場合、株主は当然銀行に預ける金利より高いリターンを期待して株に投資するのである。この高いリターンとは株価の上昇、及び配当金である。つまり、会社は株主に出してもらった資本を有効に使って、会社の価値と収益を上げ、株主に還元しなくてはならない義務があるのである。もっとはっきり言えば、銀行から借りたローンに金利というコストがあるのと一緒で、資本も会社にとってはコストなのである。それも銀行金利より高いリターンを求められる高額なコストである。

では負債のほうが安上がりだからと、負債だけで会社は成り立つだろうか?この状態は、収益力がなくて借金だらけの会社、いわゆる債務超過の状態である。言い換えれば、倒産間近で会社存続が危ぶまれる状態である。つまり、負債が増えればデフォルト・リスクも増えるのである。

結論として、会社にとって「資本はリスクが低くてコストが高く、負債はコストが安くてリスクが高い」ということになり、資本と負債のリスクとコストは反比例(トレード・オフ/二律相反)するということである。すなわち会社経営においてのファイナンシャル・マネージメントの究極論は、いかにコストとリスクのバランスをとって最適な資本構成を作るか、ということである。



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