2010年8月2日月曜日

取引リスクヘッジの実例

為替リスクのうち、取引リスクヘッジをするかしないか判断の基準のひとつなる計算方法を紹介する。

会社Aが90日後に€100,000必要とする。また現時点の90日フォワードレートが1€ = $ 1.3とする。90日後のスポットレートが1€ = $ 1.24 ~ $1.38の間で動くと仮定、そのレートになる確率(確率分布)を下の表のよう(コラム左1&2列目)にしたとする。

90日フォワード契約をした場合、€100,000を買うのに$130,000 必要となる(コラム左3列目)。またフォワードではなくスポットレートで取引した場合、予想されるレートごとに計算するとコラム左4列目のようになる。最後のコラム左5列目はフォワードとスポット取引の差額となる。

次にこの差額がどの割合で実際に起こるかを計算する。例えばコラム1行目はスポットレートが$1.24 となり、スポット取引の方がフォワードより$6,000お得になる確率が5%となる。(5% x $6,000 = $300)
全てのレートを同じように計算してその合計を出すと次のようになる。
∑ = 5% ($6,000) + 10% ($4,000) + 15% ($2,000) + 20% ($0) + 20% (-$2,000) + 15% (-$4,000) + 10% (-$6,000) + 5% (-$8,000) = -$1,000

つまりこの確率分布で行くと、フォワード契約をしたほうが$1,000お得となる可能性があるということになる。またスポットの方がコスト安となる確率はこの場合30%(5% + 10% + 15%)となるので、フォワード契約はヘッジ方法として有効な手段と言える。但しこれはあくまでも確率であり、実際にはどうなるかは誰にもわからないのが為替市場である。よってこのような計算が役に立つのかと言われれば身も蓋もないが、判断の一基準としてこういう方法もあるということを知っておいて損はないだろう。



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